プロローグ

6/13

655人が本棚に入れています
本棚に追加
/113ページ
『ジュン きょうは なにを おしえてくれるの?』 「今日は………そうだな、命について。」 『い の ち?』 「命というのは、生きるための根元の力であって、どんな生物にも1つはある寿命の事だ。」 『じゅみょ?』 「そうだな……命があれば生きてる無ければ死んでる。」 『よく わからない』 「生きていれば辛かったり悲しかったりすることも、あるけど、それよりも楽しいことや嬉しいことが、たくさんあるはずだよ。」 『いのち わたしにも ある?』 「あぁ、あるよ。」 『ジュンにも ある?』 「あるよ。」 『ないひとも いる?』 「無い人も……いるね。」 『ないと ジュンやわたしと ちがう?』 「違う……ね。」 『なにが ちがうの?』 「話せないし会えないし、それにお別れしなくちゃならない。」 『おわかれ?』 「お別れ。」 『わたしの いのち いくつあるの?』 「1つだけ、どんな生物にも命は1つだけだ。」 『いのち どこにあるの?』 「一般的には左の胸だね。」 『しんぞう あるところ。』 「あぁ、そこに命の源がある。」 『へぇ。』 「いいかい? 命は1つだけで、無くしてしまったら二度と誰とも会えなくなってしまう。 命は大切にするんだよ?」 『 あえなくなる? 』 「あぁ。」 『ジュンとも あえなくなる?』 「会えなくなる。」 『それは やだ。』 「だから、命は大切にするんだよ?」 『わかった。』 「うん、良い子だ。」 ジュンは また わたしの あたまを くしゃくしゃって なでてくれた。 いのち。 やっぱり よくわからなかったけど ジュンが たいせつにしろって いったから たいせつにしよう。 でも たいせつにするって どうやるの?  
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

655人が本棚に入れています
本棚に追加