序章

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バイトが終った俺はいつも通りにコンビニに寄って弁当を買って、歩き慣れた帰り道をただ歩いていた。 そして、何故か頭に浮かんださっきの古文。 昔はもっと暗記していたが、流石に数年ブランクがあるためあやふやな記憶になっていた。 別段、竹取物語まして古典が好きだった訳でもない。(逆に苦手だ。) 思い入れがある訳でもないのに、何で思い出したんだろう? ぼんやりと考えながら歩き見上げれば小さな星に囲まれた、月―… あぁ、そうか… 今日は満月、十五夜だ。 かぐや姫が帰ったのも確か、十五夜。 不思議な繋がりに小さく苦笑いを零しながら、 美人と言われたかぐや姫なら一度位は拝んで見たい ま、無理な話だけど… と、誰もいない夜道に俺のくだらない一人言が消えていき、 そして、俺はまたいつも通りに帰り道を歩いていた。 普段よりも青白く輝く月を背にして…
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