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そっと近付き、横たわる人の側へ膝をつく。
自分の家に見知らぬ人が、まして今の時代ではありえない姿をしている事に自分は理解出来ないでいた。
恐る恐る指先で相手の着物に触れれば確かな布の感触に目の前にあるものが現実であると伝える。
窓から射す満月のせいか、淡く青白い光に身に包まれた相手の顔を覗き込んだ。
流れる長い髪は月の浮かぶ夜空を思い出させるような黒髪。
陽にさらされた事の無いような真っ白な肌に伏せられた長い睫毛。
「綺麗……だな…」
眠る姿すら美しく感じられる相手を見つめ続けていれば、悠の頭にありえない考えが浮かんだ、
「いや、…あるはずない…」
くだらない考えだと自嘲気味に否定するが、
今日が十五夜の満月
突然思い出した竹取物語
そして、現れた見慣れぬ着物を纏った人
繋がる接点に導かれ、叩き出された答え、
月に遣わされてやってきた絶世の美女―…
「“かぐや姫”……なのか?」
驚きと困惑を滲ませた表情のまま、眠る相手へ問い掛けた。
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