序章

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カチッ…カチッ…カチッ…カチッ… 月明かりだけの暗い部屋に、時計の動く音が響く、 見つめ続ける悠は、そっと指先で頬にかかる黒髪をよけ頬を撫でる ひんやりと、…暖かみのない肌に眉根が寄った。 冷たい頬はいやに白く、まるでこのまま目を覚ます事はないのではないか… 不安になりつつある、自分の心に悠は苦笑を零した。 そして、頬に添えられた指先をそのまま唇へ滑らし、ゆっくりとなぞる 控えめに色付く紅い唇… この唇からどんな声が聞こえるのだろう… 声を聞きたい… 淡い期待を胸に宿らせ、惑わされる様に自分の顔を近付ける… 満月に惑わされたのか…、 それとも、眠るかぐや姫にか… 自分の唇が色付く赤い唇へ触れる、 パチッ 後数cmという間際に、眠る相手の瞼が開いた。 「?!………うわぁぁぁあ!!!!!!!」
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