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古典学者もびっくりな事実に平凡な自分の頭の中は混乱したが、何とか平静を装う様に口を開く
「ほ、ホントに……男?」
「…脱ぐか?」
「結構ですっ!!」
うわぁぁぁあ!!!絶世の美女は実は男だったのかぁぁぁあ!!!!!と、叫びたい衝動を抑え目の前に座るかぐや姫(男だけど…)を眺めた…
言われてみれば、骨張った手や首筋、低い声…女性特有の丸い雰囲気は感じられない…
伝承通りの美しさだが、俺と同じ男…
アハハハと口からは乾いた笑い声が出た。
(俺は男に手を出しそうになったのか…)
「…お前の名は?」
「へっ?」
突然聞こえた声に飛ばしていた意識を戻して、再び前を見る
問い掛けてきたのは紛れも無く、目の前に座るかぐや姫。
「あ、えと…俺は、羽鳥 悠(ハトリ ユウ)」
「悠か…」
覚える様に一度名を呟やいてからかぐや姫は立ち上がり
「うわぁっ!!」
伸ばした手で、悠の首元の服を掴んで引き寄せる、
「な、何だよ!!」
「お前の願い事、叶えてやろうか?」
「ぇえ?!」
思っていたよりも男らしいかぐや姫の発言に困惑しつつ、言葉を頭の中で繰り返した。
「何でいきなりそんな事…」
訳がわからないと言うように相手の顔を見遣れば、これでもかと言う様な笑みが見え、
「そのかわり我と契約してもらう…」
「きょ、拒否権は…」
「無い」
「(やっぱり)」
そして、平凡に過ごし平凡に終る筈の夏休みがこの日を境に、一変した。
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