俺と侍彼女

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俺は神原隼人。 まあ、ごく普通の男子高校生だ。 勉強も運動も良くもなく悪くもなくのごく普通。 そんなごく普通の俺には、ごく普通じゃない彼女がいるんだ。 この物語はその彼女、悠久院かなでと俺の物語らしいぜ… 神原隼人はいつも通りの時間に起きて、いつも通りの時間に朝食をとる。 「ごっそさん」 朝食をかきこんだ隼人は、鞄を持ち上げると、行ってきますと叫んで家を出る。 「ちと遅れ気味だな。彼奴待たせちゃ悪いよな」 隼人には彼女がいる。 今朝も彼女と待ち合わせだ。 待ち合わせ場所は隼人の家から歩いて五分の公園。 互いに通学路の途中にあるため、待ち合わせにはうってつけなのだ。 隼人はその公園に走って駆け込む。 いつものブランコの前で、その彼女は待っていた。 黒いサラサラの長い髪の毛を美しく靡かせ、キリッとした目で前を見据えている。 その彼女の左手には、日本刀。 この時点で彼女が普通の高校生でないと分かる。 「かなで、悪い。待たせた…」 隼人はその彼女‐悠久院かなでに声をかけた。 「おお、隼人殿。おはよう。そんなに待ってなどいないぞ?」 かなではそう言って笑う。 「じゃ、行くか?」 「うむ。今日も学舎が拙者達を待っておるぞ♪」 かなではにっこりと笑うと隼人と共に歩き出す。 この時点でお分かりだろう。 ごく普通の高校生、神原隼人の彼女、悠久院かなでは、お侍なのだ。
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