なりふり構わず

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次の日、引っ越しの準備をしてくれていた母が電話してきてこう言った 「電話の引っ越しができんよ。名義が違うからできんゆーの。」 これを聞いた瞬間、ブラックリストにのったんだと思った 電話の名義は友達の母親だった 私が働きながら専門学校へ通うことが決まり、頑張れと応援の意味も込めプレゼントしてくれたのだ 引っ越しする時は名義人の許可がいるのだが、その人は行方知れずになり、どこへいるのかもわからない状態 東京へ引っ越す時、担当の人に事情を説明し、 「何かあったら私が責任をとりますから」 そこまで言って、1度は引っ越しできた 今回、愛知へ引っ越すのに母がどう話したのか、話はこじれていてうまくいかない なんとしても説得しようと思っていたが 「もうこの電話線は諦めよう。せっかくあの人がプレゼントしてくれたけど、もういいが。どこへ行ってしまったかもわかんないし。」 その言葉を聞き、私も諦める気になった 契約し直す7万円が惜しいのではなかった あの人がプレゼントしてくれた好意が無になるようでイヤだった 一度東京へ引っ越せたのに、今度は愛知へ引っ越せない、その矛盾もすごくイヤだった
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