パニック

1/1
前へ
/72ページ
次へ

パニック

男に解放されたものの 仲間を集めてお前を追い出すなんてわけない その言葉が頭から離れなかった 今日は土曜日 彼の家へ行く日だ ノロノロと用意を始めた 電車を乗り継ぎ居心地のいい、我が家のような彼の家に到着 (彼は友達とシェアして貸し家に住んでいた) いつものように友達が遊びに来ていた 一泊して、帰る頃になってもナカナカ帰ろうとしない私に彼はこう言った 「もう帰る時間でしょ?」 「・・・・・」 長い沈黙の後に 「帰りたくない」私がそう言うと 「なんで?!明日仕事でしょ?もう帰らないと遅いよ」たどたどしい日本語で彼は一生懸命 説得した 半泣き状態で「アパートに帰りたくない」と繰り返したが、明日は仕事 帰らなければならないことはよくわかっていた 人前で泣かない私がこんなに取り乱したのは珍しかった この時から少しずつ平静でいられなくなっていったのかもしれない どれくらいの時間押し問答していたのか 長かったような気もするし、短かったような気もする
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

174人が本棚に入れています
本棚に追加