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エピローグ
「ごほっごほっ」と咳き込む音が部屋に響く。
ベッドには1人の老人が寝ている。頬はこけており、今すぐにでも死んでしまうのではないかと言うほどに弱って見える。
すぐ横にあるテーブルには水の入ったコップと錠剤が盆に乗せられて置いてある。老人は病魔に犯されていた。
その老人は上半身だけを起き上がらせると、枕元にある小さなボタンを押す。すると、鈴のような音が鳴り響く。どうやら別室にいる人を呼ぶためのもののようだ。
しばらくして、コンコンというノックの音が鳴る。
「入ってくれ」
老人はしわがれた声で扉の向こうにいる人に入室を許可する。
ガチャと扉が開く。現われたのは紅のドレスを身にまとった少女。否、ドールだった。人間と見間違えてしまいそうなほど精巧に作られた身体。しかし、むき出しの球体関節がドールであることを認識させる。
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