1.16年後の平穏

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「ひさしぶりね、桜田君」 「……柏葉? 柏葉なのか?」 「ええ。と言っても今は……」 「みっちゃん。はやくはやくっ」 「カナったら速すぎよー。みっちゃんいい年なんだからもー」  巴が言いかけたところで外から誰か別の声が聞こえてくる。 「この声は」  ジュンは玄関から外に顔を出す。  外には1人の眼鏡をかけた女性と、傘をつかって空を飛ぶ人形がいた。 「あー! ジュンかしらー」 「あージュンジュンー! ひさしぶりー」  草笛みつと金糸雀がこちらへと向かってきていた。 「この声は金糸雀ですか?」  翠星石も玄関から顔を出す。 「翠星石もいるかしらー!」 「キャー! 翠星石ちゃんもひさしぶりー。みっちゃん元気でてきちゃった」 「どうしたですか2人とも。いきなりこっちに来るなんて」 「ふふ。今日はちょっと報告があってねー」  みつが嬉しそうな顔で言う。 「ふぅー。着いたかしら」  2人は玄関にたどり着く。 「あらー。巴ちゃんもいるじゃない。ひさしぶり」 「ご無沙汰してます。みつさんとも7年ぶりですね」 「そうねー。あらら、美人になっちゃって」 「みつさんこそまだまだ若く見えますよ」 「ふふ。ありがとー」 「まあ立ち話も何だし、中に……」  ジュンが彼女達を家の中に招きいれようとしたその時、遠くから1台の乗用車がこちらに向かってきた。
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