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柿崎めぐの話をしよう。
彼女は今、売れっ子の作家として日々を生きている。
水銀燈が動かなくなってからは、父親と和解したり、内職などでお金を稼ぎ、そのお金を募金したりしていた。病人のめぐには時間があまるほどあった。そこで彼女は水銀燈のことを忘れないために、彼女との思い出をノートに書き始めた。
最初は思い出だけだったのだが、いつのまにか水銀燈ともっとこうしたかったなどの願望なども書くようになっていた。めぐはそれをまとめて1つの小説に書き直した。
そしてある小説大賞に応募をする。見事入選。その小説が書籍化された。それが大ヒットをし、あっという間にめぐは売れっ子になった。
さらにめぐはその本の印税の半分近くを世界の恵まれない子供達のために寄付し、それがまた話題を呼び、いまや、世間で知らない人の方がすくないのではないかと言われるほどの作家になった。そして、今に至る。
「これの印税も寄付するのか?」
「ええ。私が誰かの為にできることなんて、これくらいしかないもの」
ジュンとめぐが会話する中、みつがジュンの持っている本をじーっと見つめている。
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