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その後、巴は実家で娘が待っている、みつは引越しの荷物整理、めぐは雑誌のインタビューと、各自予定があるため、解散。金糸雀もみつと一緒に帰ったため、この家は再びジュンと翠星石の2人だけになった。
時刻は13時を回っていた。翠星石はキッチンで昼食を作り始め、ジュンはテーブル食器を並べている。
「なあ翠星石」
「なんですか?」
「金糸雀と久々に会えて、嬉しかったか?」
「そりゃあまあ、嬉しいか嬉しくないかでいったら嬉しいですよ」
相変わらず素直じゃないな、とジュンが思う。言葉とは裏腹に翠星石は先ほどから機嫌がよかった。鼻歌を歌いながら料理するほどだ。
「他の姉妹にも、早く会いたいよな?」
「……もちろんです」
「真紅に雛苺、水銀燈。そして蒼星石」
「蒼星石……」
「待ってろよ翠星石。もうすぐ……もうすぐだから」
ジュンは自信に満ちた声で言う。
「今日柏葉達と久々に会って、元気を貰った。作業も順調だ」
「無理はするなですよ」
「分かっているよ。翠星石」
「なんです?」
「僕を……信じてくれ」
翠星石は手を止め、ジュンの方へと振り返る。
「あたりめーです。16年前から、ずーっと信じているですよ。だって――」
眩しいくらいの笑顔。
「ジュンは、翠星石の大事なマスターなんですから」
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