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――8年前。
ジュンが大学4年生の頃のことだ。彼はある夢を見た。
そこはいつもの桜田家。ドール達が騒いでいる。雛苺はうにゅーがないと泣き叫び、蒼星石がそれを慰める。真紅はTVのくんくんにうっとりとした表情で見とれていて、それを馬鹿にしながら水銀燈が現れる。
自室でネットをしていたジュンは、下がうるさいため、自ら1階に出向き、「静かにしろよ!」とドール達を怒鳴る。
その声を聞いてドール達は一斉にジュンの方に振り向く。
「ジュン……あっちにはうにゅーがないの。うにゅー食べたいの」
「ジュン君……翠星石が心配しているから、早く戻りたいよ。彼女を待たせたくないんだ」
「ねぇジュン……めぐはどうしてるのかしらぁ? あの子の戦う姿がみたいわぁ」
「ジュン……いつになったら、私からあなたにキスさせてくれるの? もしかして、嫌なの?」
「ねえ……」「ジュン君……」「早くそっちに……」「戻りたいのだわ……」
ドール達は次々と戻りたいという願望をジュンにぶつける。
「分かってる、分かってるよ……」
ジュンの胸にその言葉が突き刺さる。
「もうあれから8年経ったの……」
「もっと早く戻れると思ったのに……」
「使えない子ねぇ。あなたジャンクなの……?」
「ジュン……あなたは私に会いたくないのね……」
「うう……」
ジュンは頭を抑えてうずくまる。そんな彼をドール達は四方から囲む。
「ジュン……」「戻してよ……」「私達をあの平穏に……」「戻しなさい……」
「うう……うわ……うわああああああああああああああああああああああああああああ」
ジュンの視界がブラックアウトする。
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