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「……っはぁ……はぁ……」
地面に手をつき呼吸を整える。
「ここは……」
ジュンは周りを見渡す。まるで漫画の世界のような空に大きな木。世界樹の枝だ。
「夢、か」
ジュンは胸をなでおろす。
「あたりまえだよな。あいつらは、まだ戻ってこないんだから」
ジュンは悲しげな表情でうつむく。
「ここで意識が目覚めるのも久しぶりだな。前にここに来た時は、あいつらがまだ動いていたもんな」
落ち着いてきたところで改めて周りを見渡す。広大な空間に巨大な世界樹の枝。いつもと変わらない夢の世界。
「あれは?」
ジュンが何かに気付く。
「あれは……穴?」
世界樹の枝の影に小さな穴が開いている。ジュンはその穴に近づく。
それは人1人が入れる程度の小さな穴だった。真っ暗で穴の向こうは何も見えない。
「どこに繋がっているんだ?」
ジュンは穴の中を覗き込む。
「駄目だ。見えないや」
顔を穴から出す。やはり真っ暗で何も見えないようだ。
「うーん……」
考える。穴に入るべきか、否か。
「どうせ夢の中だし、現実の世界に影響はでないだろう」
ジュンは穴に入ることを決める。
「それに、この穴はあいつらの夢を見た後に現れた。もしかしたら何か関係があるのかもしれない」
ジュンは自分の頬をパチンと叩く。
「痛っ。夢の中でも痛いもんだな。よし、いくか」
ジュンはその場でジャンプし、穴の中へと落下していった。
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