2.マエストロ

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「……っはぁ……はぁ……」  地面に手をつき呼吸を整える。 「ここは……」  ジュンは周りを見渡す。まるで漫画の世界のような空に大きな木。世界樹の枝だ。 「夢、か」  ジュンは胸をなでおろす。 「あたりまえだよな。あいつらは、まだ戻ってこないんだから」  ジュンは悲しげな表情でうつむく。 「ここで意識が目覚めるのも久しぶりだな。前にここに来た時は、あいつらがまだ動いていたもんな」  落ち着いてきたところで改めて周りを見渡す。広大な空間に巨大な世界樹の枝。いつもと変わらない夢の世界。 「あれは?」  ジュンが何かに気付く。 「あれは……穴?」  世界樹の枝の影に小さな穴が開いている。ジュンはその穴に近づく。  それは人1人が入れる程度の小さな穴だった。真っ暗で穴の向こうは何も見えない。 「どこに繋がっているんだ?」  ジュンは穴の中を覗き込む。 「駄目だ。見えないや」  顔を穴から出す。やはり真っ暗で何も見えないようだ。 「うーん……」  考える。穴に入るべきか、否か。 「どうせ夢の中だし、現実の世界に影響はでないだろう」  ジュンは穴に入ることを決める。 「それに、この穴はあいつらの夢を見た後に現れた。もしかしたら何か関係があるのかもしれない」  ジュンは自分の頬をパチンと叩く。 「痛っ。夢の中でも痛いもんだな。よし、いくか」  ジュンはその場でジャンプし、穴の中へと落下していった。
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