1.16年後の平穏

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 ピンポーン。と呼び鈴が鳴る。と同時に玄関の扉が開く。 「こんばんはー。お姉ちゃんだよーぅ」  ハイテンションで家の中へと上がりこむ女性。桜田のりだ。 「こんばんはですぅ。よく来るですね」 「そりゃあ2人が心配なんだもの。自然と足がこっちに向かっていっちゃうわ」  のりは、ジュンがこの家に住むようになってから、週に最低でも3回、最高で7回この家を訪ねにくる。 「あら、翠星石ちゃん。1人でお夕飯? ジュン君は?」 「ジュンならもう食べ終わって、下で例の続きをやっているですぅ」 「翠星石ちゃんがまだ食べているのに行っちゃったの?」 「そうです。でも、しょうがないですよ。あれはとても大事なことなんですから」 「確かに今ジュン君のやっていることはとても大事なことね。でも、いなくなった人を大事にするのもいいけど、ずっと傍にいてくれた人も大事にしなきゃって私は思うのよ」 「でも、いいんです。ジュンにはあの続きに集中してくれればそれでいいです。翠星石だって、早く蒼星石に会いたいですから」 「……」
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