第八章

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  「さて…と…土方さんは、特に手加減しなきゃ駄目ですよ。喧嘩殺法なんて、遣りすぎたら可哀想ですからね…。」 試合開始そうそう、開口一番でそう言った維治は、突っ込んできた隊士の攻撃をかわしながらいなす 一方の土方は、 「知らねぇよ。今日は少しくらい、羽目外してもいいだろ。」 といいつつ、向って来る隊士の足を払ったりして攻撃をかわした 「いやいや…流石に首締めや急所蹴りはちょっと…。」 土方の言葉にそう言う維治も、手は全く休むことはない 「避けねぇのが悪ぃ。」 と、維治の言葉にそうすぱっと答えた土方 その手もまた、相変わらず動きつづけたままだ 「…それを言われちゃ、何もいえませんねぇ…。」 土方の言葉に只々苦笑を浮かべた維治は、隊士の竹刀を払い、容赦なく胴へと叩き込む 「お前だって、手加減してねぇじゃねぇか。人のこと言えた立場かよ」 「土方さんの喧嘩殺法に比べたら、なんてことないでしょうよ。それに、副長命令出たからこそ、こうやってるんですから」 そんなことを話している二人は、何時しか背中合わせになって戦っていた 向っていく隊士たちは次々と二人にあしらわれ、倒されていく… 比較的易しい剣撃の維治と、鬼のように実践的で厳しい土方… 二人の攻撃は、互いの短所を埋め合い、全くといいほど隙がなかった…  
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