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勢い良く立ち上がり、周囲を見渡す。
「何とか捲いたか」
周囲にスズメの気配はない。数秒気配を殺して探ってみるが追ってくる気配もない。
そんなアキラに近づく生徒が
「アキラ君、何やってるの、キャハ?」
見ると、そこにいたのは西条キリエ。なにやら不思議そうな表情でアキラを見ていた。
「答える前に、ここはどこだか教えてくれないか」
「ここは、一階の一年生のクラスだよ?ていうか、もう一度聞くよ、窓ガラスを破ってまで何をしているの、キャハ?」
アキラは服についた汚れを叩いて落としながら質問に答える。
「スズメがな、弁当を忘れてきて代わりに俺のを奪おうとしたんだ。それを逃げていたらこんな事態に」
「ふぅん、弁当ってもしかして、それ?」
キリエの指差した先には、確かにアキラの弁当があった。
だが、それは衝撃で蓋がはずれ、中身が散乱した弁当だった。
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