その名はセツリ

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筑波セツリという青年がいる。 彼は警察内部にある魔法犯罪に関する部署に所属している。その部署には特殊な才能をもった人間、もしくは魔法の能力が高いもしくは魔法に関する知識が豊富である。などの理由がなければ入れない狭い門の中にある。 セツリはそんな中でもトップクラスの地位にいる。その理由は彼の戦闘能力の高さ故である。 その気になれば犯罪集団を個人で掃討できる戦力を保有している彼は、文字通りそのような任務を任されることもある。 しかし、それは相手が魔法を使用した犯罪集団の場合である。もし相手が重火器を使用している場合魔法で対抗することは不可能であると”一般的”には言われている。 しかし、その日、彼はその”一般的”から外れた出来事が起きていた。 「おーおー派手にやっちゃって」 一年中眠そうな表情で固定されている青年。筑波セツリは、そんな暢気なことをしゃべっていた。 しかし、彼の周囲にいる人たちはそうもいかなかった。皆怒りをもってセツリを睨みつける。 セツリのいる場所は、事件現場。さらに言うならば、テロリストの立て籠もり現場である。 住宅街にある一軒家。そこに五人の男が銃器を持って人質を取り立て籠もった。漫画のような話だが事実であった。 周囲には一般人の姿は無い。いるのは武装した機動隊が百人近く待機している。その全てが殺気を放っており、その一部が何故かセツリに向けられていた。 「すいません。現場指揮官はどこにいますか?」 セツリは取りあえず近くの警官に問うが、その機動隊は無愛想な表情で「むこう」とだけいってセツリから視線を外した。何度も言うがセツリには何故彼等が自分に向けて怒っているのか理解できていない。
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