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「特別なことはしないよ、男女二人一組でゴールを目指して、着いたらそのままとんぼ返り。それでおしまい」
「ふぅん、って男女二人一組!?」
「うん、それが?」
スズメの狼狽に、英二は首を傾げる。
しかし、隣に座っていたユメは理解したようで、面白いようなものを見るような目でスズメを見ていた。
「確か、最初に希望を聞いて、希望が居ない生徒は学校が準備するくじで決めるらしい、ハッ、まぁ大抵の生徒はくじ引きだろうな、彼女がいる奴は別だろうけど」
英二は彼女がいないのでつまらなさそうにぼやく、しかしスズメは聞いていなかった。
(この学年の人数は二百人。それで居て相手を希望する生徒が一割居たとしても百八十。そっからくじ引きしたら絶対にアキラとは当たらない。)
アキラとスズメ、この二人はお互いに認識にはズレがある。
それは一つの事実を知っているか、知らないか、それが大きく関わっている。
その事実とは、“二人は血が繋がっていない”というもの。
スズメは捨て子であり、彼女は九条家の誰とも血が繋がっていない。
それをスズメは知っているが、アキラは知らない。
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