27人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃ、さっきのは…嘘?」
「あたりきよぅ」
僕の問いに、とてもいい感じの笑顔でサムズアップする蒼凪。
あたりきとは、当たり前という意味だろうか?
「つーかね、裏って何さ?」
蒼凪はそう言いながらズズィッ、と僕の方に一歩詰め寄ってきた。
いきなりの接近に、さすがの僕も怯んでしまう。
「ぁ~、ほら、よく言うじゃん? “本性現した”とか“化けの皮が剥がれた”とか、アレのこと」
「…それが、裏?」
僕は、コクンと頷く。
すると、これまた予想外な事に、蒼凪は高らかに笑いだした。
「アハハハハハハッ!! 何それっ、爆笑っ!! アハハケヒョッ、ゴホッ…」
おいおい、いくら何でもむせるほど爆笑は無いだろ。
こっちは真剣に言ってるのに…
「何がそんなに可笑しいのさ?」
僕が語彙を強めて問い掛けると、蒼凪はむせながら僕を見た。
「コホッ、ケヒョッ…ぁ~。いーかい朱染、裏だとか表だとか、そんなものに意味はないでしょ?」
未だむせつつ、かつ涙目で蒼凪は語る。
その眼差しは、いつになく真剣な空気を放っている。
半笑いだということを除けば…
「どうしてさ? 人間関係を結ぶ上で、人の心の裏表は重要だと思うけど?」
裏と表の関係性、そいつから逃れる術はないんだ。
僕らが、ニンゲンで在る限り。
それが、今の僕の真…
「確かにね。でもそれは、意味じゃないでしょ?」
…脳内決めゼリフの途中で、見事なまでに水を差すのは止めて欲しい。
不完全燃焼になるじゃないか。
「…何が、言いたいのさ?」
僕は、単刀直入に聞く事にした。
すると蒼凪は、待ってましたと言わんばかりにニイッと笑う。
最初のコメントを投稿しよう!