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「なんて言うかな、近過ぎるんだよ」
「どこがさ、まだ抱き付いてないってーのに」
蒼凪が頬を膨らませ、あからさまに不機嫌そうな顔に…
あ、今のはシャレじゃないよ?
「いや、距離の問題じゃないし」
僕が真面目腐って言うと、蒼凪はニカッと笑った。
「にゃはは、分かってるって。何回も聞かされてんだから、いい加減覚えたよ」
「………」
「『あんまり近過ぎるから、友達や恋人を飛び越えて姉弟にしか思えない』でしょ?」
…むかつく事に、一字一句間違っていない。
つーか、覚えてんならいい加減諦めてくれ。
「はぁ、ならいい加減諦めてよ」
僕は、思った言葉をそのまま口にして言った。
だがしかし、蒼凪はまるで怯まない。
「無理だよ、好きなんだもん」
その目は、一縷の迷いすら無く輝いていた。
蒼凪の漆黒の双眸はどこまでも真直ぐに、ただこの僕、立花朱染の双眸をひたと見据えている。
なんの裏も無いかの様な、透き通る程の…黒。
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