交ぜても混ざらぬ朱と蒼

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その時、僕は思ってしまった。 蒼凪は、真直ぐだし、素直だし、お世辞じゃなくてもいい奴だ。 僕には得に絡んでくるけど、他のクラスメイト達にもその態度事態は変わらない。 常に、誰に対しても、差別区別無く接している。 そう、僕は思ってしまった。 彼女にも“裏”が在るのだろうか…と。 一度考えだしたら、もう二度と戻れない。 止まらない。 終わらない。 湧き起こる好奇心、産まれ来る疑問。 それらは弾け、とめどなく溢れだす。 「蒼凪は…」 「ん?」 僕の言葉に、蒼凪は微笑を浮かべながら声を返してきた。 その瞳は、やはり真直ぐに僕を見つめている。 しかし、僕は蒼凪を見ていない。 いや、見れない。 「蒼凪、は…」 聞くな、やめろ、今ならまだ間に合う。 今まで築いてきた、保ってきた、紡いできた、二人の距離が、関係が、無くなる… だけど、好奇心は、止まらない。 「蒼凪は…」
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