交ぜても混ざらぬ朱と蒼

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「蒼凪は、僕の何が好きなの?」 「顔」 僕が三度目でやっと口にした言葉を、まるで朝の出欠席の返事のように即答する蒼凪。 てか、待て………顔? 恐る恐る、僕はおうむ返しに聞き返す。 「……顔?」 「そう、顔」 「………」 余りに予想していなかった答えに、脳がフリーズした。 あれ…何だ、この感じ。 今まで、感じた事のない、不思議な感覚。 悲しみか? いや、違う。 憎しみか? それも、違う。 怒り? まるで違う。 これは、この感じは… 台風が来ると言われていたのに、朝起きたら見事なまでに晴天快晴で、暴風警報なんか夢のまた夢だった時に似ている。 そう、この感じは『失望』だ。 「いやーやっぱさ、彼氏にするならイケメン君でないとね~」 蒼凪は僕の気も知れずに、カラカラと笑いながらそう続ける。 「男は顔が良くなきゃ、価値がないって」
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