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「………」
景気良く笑う蒼凪を横目に、僕は未だ驚き続けていた。
何にって?
そんなの、蒼凪の“裏”について、じゃないに決まってるだろう。
僕が驚いたのは“僕自身”にだ。
僕は、あらゆる物には裏が存在すると唐突に考え、そしてそれがこの世界の真理だと、本気で思っていた。
そして、その真理の通り、蒼凪にも裏と呼べるものが存在した。
表向きは天真爛漫純粋無垢な美少女も、裏を返せば顔で彼氏を選ぶ軽薄尻軽少女でしかなかった。
だが僕は、その事実に失望した…
そう、“望みを失った”のだ。
望みがないならば、失ったりはしない。
なら、僕の望みとは?
そんなもの、簡単だ。
僕は…望んでいた、
“蒼凪には裏が存在しない”
という事を。
あまりも自分勝手で、欲望に満ち溢れた、僕の“望み”。
自分で自分の真理に反する望みを抱いたことに、自分が彼女にそうであれと望んだことに…
その二つの現実に、僕は心底驚愕したのだ。
…考えているうちに、やっと脳が正常に戻ってきた。
さて、この重苦しい沈黙はどうやって軽くするの…
パーンッ!!
「うわっ?」
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