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『いてててて・・・』 腰の痛みを我慢して、やっと遠山真は立ち上がった。 『・・・ここはどこだ?』 真は体育館の広さ程の場所に一人ポツンと立っていた。 周りには何もなく、床も壁も天井も全てが真っ白で、部屋の広さを際立てている。 出口は見あたらない。ましてや、窓の一つも見当たらなかった。 真は完全密室の部屋に閉じ込められていたのだ。 真がこの状況を把握するのは容易な事では無かった。 ―あれ?俺今まで何してたっけ? 自分の心の中で自問自答を繰り返す。 しかし何も思い出せないのである。 ―記憶喪失? いや違う。昔の事はちゃんと覚えている。親の顔、友達の事、つい一週間前までは学校で、今は夏休みだという事も覚えている。 しかし思い出せないのだ。ここに来る直前に何が起こったのかが。
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