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「すいません、私急いでるんで、その話はまた今度に」
「俺とエッチして下さい!」
時が、止まる。一瞬で。
高校二年生の女子を捕まえて、エッチして下さい? 変態。
「あっ、間違えたっ。すいません、俺と付き合って下さい!」
耳たぶまで真っ赤にして言い直しても、もう遅いよ。
男なんて、頭の中ではみんな同じ事考えてるんでしょ。
だから恋愛なんてしたくないのよ。そんな暇があったら、勉強して良い大学入った方がマシ。
変態男子は、もじもじしながら私の返答を待っている。
はっきり言った方が良いと思うけど、ここで断ったら、朝から強姦なんて目に遭いかねない。
〈スタイル抜群の女子高校生、ストーカーに強姦されるっ!〉なんて記事が新聞の一面に載りでもしたら、恥ずかしくて街中を歩けない。
視線を宙に泳がせろと命じた私の頭脳は、保留にすべきと言う答えをどうにか導き出した。
「すみません、少し考えさせてくれませんか?」
「勿論です、良いお返事待ってますね。じゃあ、また明日っ」
ちょ、ちょっと待って、明日も来るつもりなの?
そう言いたいのを何とか堪え、愛想笑いで対応した。
満面の笑みを浮かべた変態男子は、通学路とは反対の道を駆けて行く。さらさらの黒髪が、やけに眩しく見えた。
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