北極

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ハルトマンが機体を見に行くと、機体の一部が分解された状態で艦内から運び出されており・・・。 その分解されていた機体の横を通り抜けて、ハルトマンは甲板に出た。 「ガコン、ウィーン」 簡易滑走路の設置に工具が使われ、その機械音が凍てつく寒さの氷河に鳴り響く。 「北極は気温が低すぎて風が痛く感じられるが、空気が綺麗で生き返るな。」 甲板に出て暫くすると、こちらに向かって歩きながら坂井が話しかけてきた。 「普段は街の上ばかりを飛んでいるから、こんな新鮮な空気は吸えないな。」 「まあ、防寒具を着ていないと外に出られないのだがな・・・。」 ハルトマンは寒さで身震いした後、話題を変えて坂井に尋ねた。 「話が変わるが、欧州の戦いには慣れたか?」 「最初はアメリカと違う戦い方で、敵との戦闘に苦労していたが・・・。」 「同盟国のドイツの為にも、頑張って弱点を克服しつつある。」 「いつも坂井は謙遜ばかりしているな・・・。」 「私が見ていると、こちらの戦い方に慣れた気がするのだが?」 ハルトマンは笑いながら言った。
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