低空飛行

13/13

2613人が本棚に入れています
本棚に追加
/942ページ
帰路は吹き荒れていた吹雪が弱まって天候が回復し、何事もなく順調に帰還する事が出来た。 白色の氷河と紺色の海が混ざった地上の風景は、空から見ると優雅という言葉がピッタリと当てはまる。 「行きは余裕が無くて気付かなかったが、こうして見ると綺麗だな・・・。」 坂井は言った。 「ああ・・・。」 そんな風景を同じように見ながら、ハルトマンはドイツで待っている恋人の事を考えていた。 「前方に滑走路が見えます。」 ハルトマン達は晴れた空に導かれ、無事に味方の元へ帰還した。 下方に見えている滑走路には、ワイヤーが張られており・・・。 短い距離の滑走路から飛び出ないように、ワイヤーを使って強制的に減速させる予定であった。 「キュルルルルル」 尾翼辺りの下部に取り付けられたフックが、ワイヤーに引っ掛かり・・・。 急停止したジェット機を端に寄せて、急いで解体を始めた。
/942ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2613人が本棚に入れています
本棚に追加