太平洋

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不幸にも伊藤の勘の良さは直ぐに証明された。 「敵の爆撃機の編隊が接近中です!」 オアフ島に設置された電探が、爆撃機の集団を見つけたのだ。 「くそ!」 「残っている迎撃部隊を向かわせて、少しでも爆撃機を足止めさせろ!」 そう司令官は指示を出したが、迎撃部隊の殆どが東洋艦隊の護衛に充てられており・・・。 その迎撃部隊を向かわせようにも、残された燃料が少なくて途中で墜落してしまうだろう。 「どれくらいで敵はオアフ島に到達する?」 「およそ三十分です。」 宇垣自身も言い知れぬ不吉な予感を感じており、伊藤の具申もあって撤退の準備は済ませてある。 「オアフ島から撤退する。」 「施設の爆破準備は出来ているな?」 そう宇垣は部下に尋ねた。 敵はオアフ島を確実に占領する為に、攻撃に“段階”を設けていた。
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