俺の恋人……?

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さて彼女とは言っても、俺は正真正銘の男だ。 ちゃんとツイてる。 なぜにこんな事態になっているのか、それには事情があるのだ。 僭越ながら、俺のために聴いてくれ。皆の衆。 柱谷は大財閥の社長である父親。 その秘書である母親との間に産まれた子供で、 18歳になった今年、早くも見合いの話を持ち込まれたのである。 それが嫌で何度も抗議したらしいが両親は聞く耳持たずで話にならなかったらしい。 それでもと抗議を続けた結果…… それなら彼女でも連れてくるんだな。 と言われてしまったとのこと。 色恋沙汰に興味もなく、今までそんな感情も持ったことのない男にそれは剰りに厳しいもので、 困り果てた挙げ句、 ナンパ男 (残念ながらここ重要) で有名だった俺に相談を持ちかけてきた。 相談を受けるというのはたまにあることではあったが、 この手の悩みは本人の問題であって解決のしようがない。 「よし、良いナンパ法を伝授しよう」 と言えば、 「それは嫌だ」 と返され、 ならばと 「誰かにOK出せばいいじゃん」 との投げやりになった俺の言葉も、 「根本的な解決にはならない」 と首を横に振る。 じゃあ一体どうしろって言うの!? 頭をかいて悩んでいた時、なにやら熱苦しい視線を感じた。 その時、俺の顔を柱谷はじーっと見つめて一言。 「お前、代わりに俺の彼女になってくれ」
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