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正直愕然とした。
というか絶望した。
あれだけナンパは嫌だとごねたにも関わらず、
あっさりと俺を代用するアイツに
絶望したーーッ!!
(パクリ乙)
しかし、
責任は最後まで取れよ?
と釘をさされてしまい、
逃げることも叶わず俺は柱谷の彼女になってしまったのである。
なんたる悲劇か。
あ゛ーッ!!
名前を見るだけでその日のことと、本日のスケジュールを思い出してげんなりするっ!
顔なんて見たら、心臓くんが働きたくないとストライキを起こすかもしれない。
しかし人生とは奇妙なもので、嫌だと思うことが起こってしまうのだよ。
しっかり働いてくれよ?心臓くん……
そう切に願いつつ、
近づいてくる野郎の姿を机に突っ伏しながら確認した。
「正介。おはよう」
「あい、おは~っ」
清潔感漂う黒い短髪に、切れ長の眼。
身長も、180を裕に越え肩幅もある。
なんと言っても、その整いすぎた顔。
そのどれもが、ムカつく事に女子の視線を攫う。
それとは対称的とまではいかないが、
やや茶色がかった標準的な長さの柔らかい髪。
切れ長とまではいかず、やや丸い眼。
身長も、残念ながら低く162センチ。
背中も肩幅も、大して広くない標準体型。
そんな俺、完敗……涙
そうヤツがトップ柱谷。
残念ながら同じクラス。
適当に挨拶を交わして、野郎の逆を向いて寝る体勢に入る。
しかし耳に届く女子の声が、気になって寝れない。
細胞レベルでナンパ人間として構成されている俺は、
女子の声あらば気になる方を反射的に向いてしまう。
それがまた野郎の方向で目があってしまう。
「なんだ?」
「てめぇじゃねえっつうの。便所にでも行け」
「尿意はないぞ」
「なくても行け!目の保養に邪魔なんだよ」
「本当に軟派な奴だな。町に出ればいくらでも出来るだろ」
「今必要なんだよ。とっとと行けっ」
「…仕方ないな。校内探検と洒落込むか」
てめぇの細胞に洒落なんて一片もねぇよ!
胸の奥で悪態を吐く。
そうして、柱谷はやっとこさ席を立って教室から出ていった。
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