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言葉を返して生きていることを確認。
同じく俺の生存を確認し、見下げる視線で笑顔を向ける女。
肩の辺りで揃えられた後ろ髪と、スタイリッシュに流された前髪。
基本的には、女性らしく綺麗な丸みの瞳は、時として鋭い眼光を放つ武器そのもの。
本人曰く世界最高峰の美脚の持ち主。
確かに脚は良い。
自らそう称すのは、取り柄がそこしかないからだと俺は睨んでいる。
俺の天敵であるこの方は、花村静。
古くからの知り合いで、いわば幼なじみと称するべき女である。
それが天敵となっているのは
静が俺のナンパ癖をバラした張本人でなにかと俺の邪魔をする女だからだ。
そんな天敵は俺と柱谷の関係を知っている。
それは俺が柱谷の「彼女」である事に理由があった。
あくまでも彼女である俺は柱谷の家にお邪魔する際、女装しなくてはならない。
男子の中で残念なほど小柄な俺でも、当然女物の服など持ち合わせているはずがない。
女物の服を買いに行く度胸なんてない。
つーか嫌だし。
仲の良い女子にも、そんな恥ずかしいことを頼めるはずもない。
てか、事情が話せない。
悩み抜いた結果、最終手段としていた曲がりなりにも幼なじみである静に頼み込んだわけだ。
奇跡的にも静と俺の身長は同じくらい。
体型も静には多少胸があるモノの、大して変わらない。
それでも俺に服を貸すことなど嫌がるかと思い、土下座までして、必死にお願いしたのだが…
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