5人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
「へぇー。おもしろそうだし、OKよ」
この通り。
すんなりと了承された。
その理由のひとつにコイツが腐女子と称されるヲタクだという事だ。
後で本人から聞いたのだが、ホモものが大好物である静にとっては願ったり叶ったりの最高の事件だったらしい。
「それよかお前、なんか用かよ?」
回想の間になんとか魂をつなぎ止めた俺は、
クラスが隣のはずの静がなぜここにいるのかと問いかけた。
すると静はスゴく嫌な笑みを浮かべ、
ちょいちょいと手招きして俺を呼び寄せた。
仕方なく座ったまま寄ってやると誰にも聞こえぬように耳打ちをする。
「さっきアンタの彼氏と会って、目の保養に協力してやれってさ」
「なっ!!?…んの野郎ぅ…ッ」
これじゃ保養どころか猛毒じゃねえかっ!
しかも致死量ギリギリの!!
まぢで死ぬ一歩手前の衝撃を受けた俺は、
やり場のない怒りに原の中が煮えくり返った。
(絶対後でシバき!)
そう心に誓う。
「で、最近どうなのよ~?」
未だ嫌らしい笑みのままの静は肘で俺を小突く。
何か嫌な予感がしたが、無視すると後が怖い。
「というと?」
惚けた返答を寄越すと、また秘密の話なのか、
ヤケに親密な間柄の様に、腕を肩に回し、顔を寄せてきた。
いきなりの事で、抵抗できず間近に静の顔がきた。
吐息が耳に感じられる距離。
天敵相手だというのに不覚にも少しドキッとしてしまう。
しかしそんな事よりも周りの目が気になって仕方がない。
離れようと必死に動くが、相手の方が一枚上手。
逃がすまいと、手は俺の制服の襟元をぐっと握られていて自力で剥がせそうにない。
それでも剥がそうと動いた瞬間…
最初のコメントを投稿しよう!