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晶羅「…夜。聞こえた…、じいちゃんの部屋…」
訳すると『夜、トイレに起きた時、たまたま前を通った翁の部屋から、龍と翁の探し物に関する会話が聞こえた』ということらしい
龍「…そっか、詳しい話は旅をしながら話したいんだけど…、俺は四聖獣を探す旅をしてたんだ。そして、朱雀を探す為にもお前が必要なんだ。一緒に来ないか?紅砂」
龍はそう言って、手を差し出した
翁「お前が四聖獣に興味があったこと、旅に出たいと思っておったことは知っておる。龍君なら信頼もできる。どうじゃ?どうせ一人でも旅に出ようと思っておったんじゃろ?」
バレバレだったらしい
(確かに、龍と一緒なら野生の獣とか何かに襲われても安心だけど…、龍が四聖獣を探してて朱雀を探す為に俺が必要?)
考えていると、晶羅が掴んだままの腕に力を込めてきた
紅砂「?」
晶羅「…兄貴、俺も…。二人なら…ね?」
『兄貴が行くなら俺も行く。二人なら何かあっても大丈夫』か…
紅砂「お前はそれで良いのか?」
晶羅「俺は…、一緒がいい…」
紅砂「…そうだな」
笑って頭を撫でてやると、晶羅も嬉しそうに笑った
紅砂「…と言う訳で、晶羅も一緒だけど良いか?」
龍「構わない。むしろ、紅砂が同意した場合、晶羅も連れて行くことが条件だったからな。だよな?王様?」
紅砂・晶羅「…王様?」
龍の視線を追って翁を見る
翁「まったく…、物の喩えじゃ、気にするな」
翁は渋い顔をしていたが、まんざらでもなそうだ
翁「それより、餞別じゃ、受け取れ」
そう言うと、翁は俺と晶羅にトップに紅い石が付いているペンダントを投げて寄越した
紅砂・晶羅「?」
翁「付けておれ、普段の魔力抑制と戦闘時魔力の増幅をしてくれる優れ物じゃ」
紅砂「え?あ、ありがとう…」
晶羅「…じいちゃん、ありがとう」
翁「ふん、母親の形見じゃかな…」
紅砂「え?」
最後が聞き取れずに、聞き返そうとしたがそれより早く翁が言葉を紡いだ
翁「ほれ、早く行かんか!隣街に付くのが遅れるぞ」
紅砂「げ、じゃあ、いってきます」
晶羅「いってきます…」
こうして、俺たちは四聖獣を探して彷徨う長い旅に出掛けた
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