出会い

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龍「ここだ」 龍は一軒の、ごく普通の宿屋の前で立ち止まった そして、そのまま中へ入り店の主人と数言会話すると、俺たちを二階の部屋へ案内した 主人は愛想の良い表情をして俺たちを通してくれる 龍「話では部屋に戻ってるらしいけど…」 そう言って龍は一つの扉を開けた 紅砂・晶羅「……?」 そこに彼女はいなかった ただ、土属性の魔力が色濃く残っている 龍「やっぱり…」 紅砂「やっぱり?」 龍のその言葉を鸚鵡返しに繰り返す 晶羅は残っている土属性の魔力からここで何が起こったか探っているようだ 俺はそんな繊細なことをするのは苦手だから直接龍に聞いてみる 答えはあっさり返ってきた 龍「空間移動の一種だ。玄武の土地・空間を司る力を使ってここから他の場所へ移動したんだ。場所は俺にも分からないから待つしかないんだけど…」 紅砂「空間移動…」 何でもないように言われたその、最上級魔法の名を聞いて開いた口が塞がらない だって空間移動って、世界で使える人間を数えても両手で足りるって話だぞ 俺が驚いてると龍が困ったように笑った 龍「玄武の器と玄武の力を証明することになったかな…?取りあえず、座って待つか…」 そう言って、適当に腰を下ろす 俺もそれに倣おうとした時、隣でぼそっと声が聞こえた 晶羅「…雪の世界、……神殿……エルフ…?」
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