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焦る俺をよそにユーリは話を進める
ユーリ「…で、聖獣と器は相性が良い分、お互いに引き合うの。これは全聖獣共通。だから、あんたの仕事は朱雀の餌になることと、悪魔に取られる前に朱雀と契約してしまうこと。その後は好きにして良いわ」
紅砂「え…?」
好きにして良いと言われても、それでは何の為に四聖獣を探しているのか…
ユーリ「龍からあんたの性格はだいたい聞いてる。あんたは朱雀の力を悪用しない。だから構わないの。悪魔のことはエルフ族の神官長とか、魔族の魔王とかに任せとけば良いのよ。今、私達がやることは悪魔より先に四聖獣を保護すること。何か質問は?」
そこまで一言で言い切ると、面倒くさそうに尋ねてくる
紅砂「朱雀と白虎の居場所について、目処はたってるのか?」
流石にこの広い4大陸を隅から隅まで探すのは無理がある
ユーリ「一応、1000年前四聖獣の器だった人物の縁の地。それぞれの大陸で魔力が強い土地を回るつもりよ。東と南は調べ終わったから後は西と、北大陸にある戻りの森だけ。この後は西に渡る予定よ。他は?」
紅砂「とりあえず、大丈夫だ」
ユーリ「じゃあ、今日の話は終わり。明日は早めにこの街を出て、隣街にある船着き場から西大陸へ渡る船に乗るから早めに起きなさいよ」
ユーリはそれだけ言うと今度は窓から何処かへ飛び立ってしまった
紅砂「何と言うか…」
すっごい淡泊な性格だなー、と思った
俺が窓の外を見てぼけっ、としてると、部屋の隅からぷっ、と噴き出す音がした
紅砂「……龍?」
龍「いや、あいつ淡々としてるだろ?」
紅砂「…うん」
晶羅「………」
晶羅も無言でコクリと頷いた。
龍「今日は疲れたみたいだからあんなものだけど、普段だったらあの調子でビシビシキツいこと言ってくるし、人使い荒いから覚悟しとけよ」
龍はそう言うと、じゃ俺は風呂入ってくる~、と出て行ってしまった
結局、何だかんだで俺と晶羅だけが部屋で留守番することになった
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