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まだ朝早いこともあって学校はしんと静かだ。
もう十五分もしたら登校する生徒で賑やかになるだろう。
「ほら、ささっと置けよ」
「袋から出せよ」
剛と正夫の二人が下駄箱の前で三太に小声だから強く指示している。
「……えぇい!!」
三太はさっきと逆の要領でビール缶を掴んで袋を元どおりにして下駄箱にビール缶を入れた。そして二人を無視して教室に走る。
「三太よくやった!」
「男だぜ」
二人が誉め讃える言葉が背中に届くがちっとも嬉しくない。今、自分がしたことは最悪のことなんだと三太は後悔しながら走った。
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