【蛞-ナメクジ-の章】

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  体格が他の子より大きくて家も金持ちだった彼はわがままに育った。いや環境によってわがままに育てられたのかもしれない。 どちらにせよ彼は何をやっても無反応な静子が許せなかった。実際に殴り付けようかと思ったがそれはさすがに気が引けた。だから彼は今回のいじめを考えたのだ。 あのビール缶をみれば誰だって気持ち悪い。静子もきっと叫び声をあげて泣くはずだ。 剛は教室に走っていた三太は放っておいて正夫と一緒に物陰から静子が来るのをわくわくしながら待った。 しかしその日、静子は来なかった。風邪らしい。
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