二人で王様ゲーム

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「さて、王様ゲームをしましょう!」  彼女がそんな提案をしてきたのは、放課後の生徒会室にて、パソコンに向かっていた時だった。 「お断りします」  俺はキーボードを叩きつつ、短く答える。 「な、即答ですか……。冷たいですね、結城くんは」 「冷たくなくても断りますよ。なんでそんなゲームに参加しないといけないんですか」  こっちは仕事中である。  文化祭を来月に控えた七月中旬。夏、真っ盛りである。時刻は六時をまわっていたが、この季節の日は長い。  生徒会役員である俺は、文化祭に備え、企画書を製作していた。役員といっても、書記である。雑用である。 「だって、退屈なんですよ、私。やりましょうよ~、王様ゲーム~」  そう言って幼い子供のように提案してくる、一つ上のセンパイ。この人こそ、生徒会長その人だ。言わば、生徒会のボスである。彼女は名を、北条センパイといった。  美しく整った顔立ちに、ポニーテールに結い上げた長髪。スタイルも良く、学園中の生徒の憧れの的だった。かなりの美少女である。
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