二人で王様ゲーム

8/9
前へ
/9ページ
次へ
 そして、第三ラウンド。甘い、甘すぎる。俺はヘタレなのかもしれない。 「いきます! 王様だ~れだ!」  そして、三度目の正直、割り箸を引く。  結果は――。 「やった~! 私、王様です~!」  俺が引いた割り箸には、何も書かれていなかった。つまり、外れだ。このゲーム、俺の負けである。  っと、待てよ。センパイは、俺にどんな命令する気なのだろう。ジュースを奢れ、とかその辺だろうか? いやいやセンパイの事だ、どんな無茶な命令をしてくるかわかったものではない。 「じゃ、じゃあ、結城くん」  センパイが俺に向き直った。 「は、はい」  センパイの瞳が、俺の瞳を真っ直ぐに見つめる――綺麗な瞳だった。吸い込まれそうなくらいに澄んでいる。 「じゃ、じゃあ私と……」  駆け抜ける馬蹄のごとく、鼓動が速度を増した。なんなんだ、この気持ちは。切ないが、どこか甘い、この気持ちは――。 「私と、き……き……」  き? 「そ、そのっ! 私とっ! き……」  彼女の瞳がゆっくりと閉じられ、唇が求めるように尖ってくる。  これはもしかして、もしかするのだろうか。  ――き、キスを求められている……?
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

110人が本棚に入れています
本棚に追加