110人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、第三ラウンド。甘い、甘すぎる。俺はヘタレなのかもしれない。
「いきます! 王様だ~れだ!」
そして、三度目の正直、割り箸を引く。
結果は――。
「やった~! 私、王様です~!」
俺が引いた割り箸には、何も書かれていなかった。つまり、外れだ。このゲーム、俺の負けである。
っと、待てよ。センパイは、俺にどんな命令する気なのだろう。ジュースを奢れ、とかその辺だろうか? いやいやセンパイの事だ、どんな無茶な命令をしてくるかわかったものではない。
「じゃ、じゃあ、結城くん」
センパイが俺に向き直った。
「は、はい」
センパイの瞳が、俺の瞳を真っ直ぐに見つめる――綺麗な瞳だった。吸い込まれそうなくらいに澄んでいる。
「じゃ、じゃあ私と……」
駆け抜ける馬蹄のごとく、鼓動が速度を増した。なんなんだ、この気持ちは。切ないが、どこか甘い、この気持ちは――。
「私と、き……き……」
き?
「そ、そのっ! 私とっ! き……」
彼女の瞳がゆっくりと閉じられ、唇が求めるように尖ってくる。
これはもしかして、もしかするのだろうか。
――き、キスを求められている……?
最初のコメントを投稿しよう!