迷界

7/13
前へ
/25ページ
次へ
首が空を舞う。 夕日に照らされた草原は赤く広がる。 波を作るように風に揺られ草がサラサラと優しい音色を奏でる。 草原には、さらに濃い紅いろが広がっていた。 鋭い刃物に切り落とされた化け物の頭が二つ。 紅の中に立つ少女の手には細く長い一本の美しい刀。風に少女の髪がゆれ、目から溢れた涙が風に運ばれる。 「殺してしまった・・・。」 刀が力の抜けた手から地面へと落ちる。 刀身は地面に刺さり空夜を写す。 血に汚れた手を見つめながら空夜は、声を殺し草原の中で静かにないた。 背後に近付く気配にも気付かず・・・。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加