迷界

9/13
前へ
/25ページ
次へ
先に動いたのは、少女の方だった、腕をゆっくり伸ばし指を空夜の方へ立てる。 空夜がいつでも飛び掛れるように足に力を入れる、その力に地面の土が小さく鳴く。 少女はそれ以上動くことなく、口を開いた。 「その刀を私のなんだよね」 「へっ!?」 しばらくの沈黙の後空夜がすっとんきょうな声をあげた。 「えと・・・助けてくれたのは君って事?」 身構えるのを止め空夜は、刀を下ろす。 その言葉に少女は、怪訝そうな表情を作り、少し怒りを含んだ声で答えはじめた。 「妖狐の、私が何で人間なんか助けるのよ❗」 耳と尻尾の毛が逆立つのが目に見えて分かった、その様子に危険を感じた空夜は慌てて刀を構え直す。 少女は強く刀を睨みつけた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加