46人が本棚に入れています
本棚に追加
『・・・空・・・夜・・』
木々の間からさす柔らかな光の中、静かな森の湖のすぐ近くに倒れていた人影が夢にうなされ、ゆっくりと目を開け上半身を腕で支えながらムクリと起き上がるのが見えた。
「ここは・・・俺は町の中にはいたはずじゃ?」
意識がまだもうろうとした様な、頼りなく小さな声が森の中に広がる。
秋原空夜だった。
鳥のさえずりや木々が風にあおられ出す音以外を聞くことのない森を空夜は静かに見渡すと、酷く喉が乾いている事に気付きふらつく足で、湖の方へゆっくりと進む。
「髪・・・?」
歩くたびに腕に触れる柔らかな感覚に気付き足を止めた。
最初のコメントを投稿しよう!