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腰の辺りまで伸びている誰のものかも解らない髪を空夜はゆっくりと引っ張り、「痛い・・・・」と、小さく呟き、小走りで湖へたどり着くと水を除きこみ自分の顔を何度も触り乾いた笑いをもらし、その場に座り込みしばらくの間自分を落ち着かせようと頭をフル回転させる。
「俺は・・・男だ・・・少なくとも今までの人生では」
空夜が湖に写して見た自分の姿は年は同じ位で黒くツヤのある髪に少し鋭く綺麗な青をした瞳が印象的な女の子だった。
「美人だったな・・・」
思わず言った言葉に一度空夜は自分の頭を強く叩き低くうなる。
「誰なんだよ・・・俺なのか・・・?何かに憑かれたのか俺は?」
考えても出ない答えに嫌気がさした頃、もう一度喉がかわいていた事を思い出した空夜は湖の水を手にすくい気を落ち着かせながらゆっくりと飲み干した。
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