渡る風

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やがて、彼はある事に気付いた。ふと顔を上げた時に、頭上の樹々の枝を渡る小さな影が確かに見えたのだ。ただ、栗鼠にしては大きい。一体何だろうかと考えながら歩き始めると、少し先が白く光っているのが見えた。 「……?」 近付くにつれて、その白さは日差しの眩さなのだと知らされる。薄暗がりになれた目には、明るい白が痛い程輝いて見えた。 やっと森を抜け出し、日差しの下に影を作る。 そして彼は、そのまま足を止めて立ち尽くした。
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