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終盤、由美子の事故により知る被害者の気持ち。兄の手紙によって再び想起される憎しみ。本当に巧いと思った。
兄がいかに自分が愚鈍で馬鹿か気づくのが遅いというのは気になったが、刑務所で一人の彼には手紙を出し、直貴と交流することが生きがいだったのだから納得出来る。
就職、恋愛、あらゆる面で犯罪者の弟というレッテルから避けられてきた直貴。彼の兄への憎しみは計り知れない。
妻や子供にまでも被害が及び、直貴は決心する。私にはこの決心が正解かどうかはわかりません。ただ、直貴にはそうするしかなかったらのだ。
選択には正解なんてなくて、いくらでも道はある。この選択は一つの道に過ぎない。
最後の終わり方には少し中途半端な気がしましたが、予想していたラストとは全くの逆でした。恐らく、東野圭吾さんは、可哀想という情では消しされない罪を描きたかったのだと思う。
謝って許されない罪。決して消えない過ち。何年も何年も……。被害者は憎しみ、殺したいほどの殺意を持つ。許されるはずがないのだ。たとえそれが弟のためでも。
泣くとこはどこだろう?最後なのかな?正直泣くとこがないわけではないですが、帯に書いていた感動とまではいかなかった。
私は由美子の言動が好きで、結構ジーンと来ましたが。というか沢尻エリカの演じる役ではない気がする。明らか間違いだろ。
最後に。当事者にしかわからない苦しみを描いた小説『手紙』。実際同じ立場じゃなきゃ、自分もわからない。それほど考えさせられる作品だと思った。
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