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そして木箱を開けると、薬を取り出して、水を持って来るように近侍の者に命じたのである。 「閣下、まさか…」 「せっかく貰ったのだ。飲まぬのは失礼であろう」 そう言うと、ついにその薬を飲んでしまった。 暫くして、陸抗は虞英に言った。 「見よ。何でもないではないか」 「…確かに…」 「返書をしたためる。筆を持て」 そう言うと、秀麗に文書を書き、名酒を選ばせて、対岸の羊コの元に送ったのであった。 驚いたのは虞英だけではない。 晋軍の方でも、皆返書を不審に思い、羊コの旗下の将が、当然のようにその酒を飲まないようにと、彼に言ったのである。 しかし、羊コはその意見を一笑にふして言った。 「…陸公はそのような人物では無い。なるほど、陸幼節はまさに、わたしの事をよく分かっている」 そう言うと、酒の栓を開けて、飲んでみせたのであった。 周囲のものは皆驚いたが、何も無いことが分かると、かえって陸抗という人物を見直したのだった…
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