殺人鬼

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処刑の当日。 吊し首にされる彼に、獄舎の刑吏が問いかけた。 「なにか最後に欲しいものはあるか?」 彼は静かに答えた。石鹸が欲しいと。 刑吏は首をかしげながらも石鹸を与えた。 幾度も処刑囚を見送ってきた形吏にも、彼の心事は理解しかねた。 しかし、処刑をまえにせめて身を清めておきたいのだろうと思い、刑吏は自分を納得させた。
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