殺人鬼

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今際の際(いまわのきわ)の独白に、遺族たちの目にはわずかな期待の灯がついた。 刑吏たちの顔には安堵の色が浮かんだ。 死を前にして、彼がようやく改心してくれたことを期待して。 次の言葉を待ちわびて、咳ひとつしない静まりかえった人々のまえで、彼はその期待に応える気はないかのようにぼそぼそと話し始めた。
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