君の名は

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 今僕は自分の背後霊と対峙している。  背後霊なのに、僕の前にいるわけで、それはかなり反則じゃないかと思う。  スカートが膝上10センチなのも含めて、かなり反則だと思う。 そんな際どい召し物で浮いてるし。  「君、さぞかし苦労してきたでしょ。あらゆるトラブルのゴミ捨て場的な存在になってのだしね」  「言ってる意味が分からないのですけど、侮辱されてるんでしょうか僕?」  得体の知れない相手には敬語必須。これ、人生のテストに出るから。  「つまりね、憑衣体にトラブルが来ると私達は別の対象に打ち返すの。自分より弱い背後霊が憑いてる対象にね」  ニキータ(仮名)は人指し指をチチチと振りながら説明する。  とても可愛いのだけど浮いている。存在自体が浮いている。  なので敢えて無表情。でも内心はカオスでソドム。  「君は打ち返してくれる者がいなかったから、あらゆるトラブルを打ち込まれてたってわけ」  「そして過去最大のトラブルが打ち込まれたわけですね」  「何言ってるの? 英語はノーThank Youだと言ったはずよ」  「いや日本語日本語!」  「ト・ラブ・ル」  「あー、それね。ってお前はどうなの?!」  僕如きでは全てのツッコミポイントを拾いきれません。  てか話を前に進めて下さい。  「だ・か・ら」  ニキータ(仮名)は僕の額を三回突いた。  意外な事に物理的接触を感知した。  「今後は私が打ち返して上げるから安心なさい。そんじょそこらの背後霊なんて屁でもないわ」  とても強そうな気はするのだけど、可憐な女子高生姿で「屁」とか口にするのはどうかと思ったり、思わなかったり。  ともかく彼女が真実を語っているとしたら、もう不運に見舞われなくていいわけだ。  そうなると別の疑問が頭をもたげてくる。 何故に18年間も憑いてなかったのか、だ。  「あら、ここぞと云う時にはいたわよ私」  「ここぞってどこぞでしょうか? そこぞがナゾなんですが」  「何それ英語? 尋常じゃなく反応したくないのだけど」  「……いつおられたのでしょうか。教えて下さい、姫」
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